先述の通り、雇用者は被雇用者に対して年に一回の健診を受けさせる義務を負っている。しかし、企業側においても法定健診の仕組みは必ずしも機能しているとは言えない。弊社にて実施した関係者インタビュー(民間健診クリニック運営会社幹部)によると、年に一回の定期健診を行っている企業は40~50%と言われており、運用面での課題が存在している。これらの法定健診の仕組みは日系企業を含む外資系企業では、厳格に適用されているケースが多く、大部分の企業で被雇用者に定期健診を受けさせている。一方、現地のベトナム企業においては十分に普及していないケースが多い。中には、企業側が医療機関に依頼をして、最小限の費用で定期健診の結果のみを作成してもらい、当局からの監視の目を逃れているケースもある。さらに、企業労働者以外の人々(個人事業主、専業主婦、農家等)に至っては、定期健診の受診割合はさらに低く、10%以下の受診率であると考えられる。そのため、多くの場合は、体の不調等が顕在化してから初めて病院/診療所に訪れるということが一般的である。
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